ナレッジマネジメントとは(知識の進化で、競争優位の会社へ)

経営・営業

ナレッジマネジメントとは、会社・組織を構成する個人のノウハウや経験を共有化し、より高次な組織の知識とすることで、創造的な仕事を生み出す経営管理手法です。

ナレッジマネジメントによる期待効果には、事業承継などの後継者問題、ベテラン社員の技の伝承の解決があります。また個人依存の技術力を組織化することによって、競争優位の強みが磨かれ、事業継続の源泉となりえます。

日本においても終身雇用制度の変革が見られます。会社に対するエンゲージメント(忠誠心)が揺らいでいる今、属人的な仕事の仕方や、知識、技術に頼らないリスク管理の在り方であり、仕事のレベルを昇華させるナレッジマネジメントがいま見直されています。

SECI(セキ)モデル

SECI(セキ)モデルは、一橋大学 の野中郁次郎名誉教授と、ハーバード大学ビジネススクールの竹内弘高教授が「知識創造企業」(東洋経済新報社)にて提唱した、ナレッジマネジメントのフレームワーク(枠組み)です。

SECI(セキ)モデル 「知識創造企業」を一部改変

暗黙知と形式知

ナレッジマネジメントでは、2つの知が定義されています。

暗黙知

暗黙知は過去の経験からくる、言語化されていない主観的な知識です。個人が反復練習など実践することで、身につく知識です。

形式知

形式知は言語化や、図式化されている、客観的な知識です。マニュアル化され、共有化されることができます。

ナレッジマネジメントは、暗黙知から形式知への循環プロセスにおいて、知がスパイラルで昇華されるの仕組みを説いています。

ナレッジマネジメントの循環プロセス

共同化(Socialization)

個人の暗黙知を伝え、小グループで共有したり、新たな暗黙知を想像するプロセスです。

表面化(Externalization)

個人、小グループにある暗黙知を洗い出し、形式知として言語化、図式化するプロセスです。

連結化(Combination)

洗い出された形式知を組み合わせ、新たな知識を創造します。個人やユニットの潜在的な暗黙知を、組織の財産として活用するプロセスです。

内面化(Internalization)

形式知を、個人が実際の経験や反復練習よって暗黙知として習得、蓄積するプロセスです。知識が実際の業務で行われます。

ナレッジマネジメントの事例(富士ゼロックス株式会社)

富士ゼロックスはミッションの一つに、「知の創造と活用をすすめる環境の構築」を掲げています。同社は「ナレッジ・マネジメント」ではなく「ナレッジ・イニシアティブ」という言葉を使っています。マネジメント(管理)でなく、イニシアディブ(発案)が知識を重視 する経営であるとしています。 

参照:富士ゼロックス株式会社ホームページ

以前は、試作品や製品完成まで、ユーザーに近い視点が反映されなかったのが課題としてあげられました。そこで「全員設計」というコンセプトが生まれました。イントラネット上に「Z-EIS」と名付けた知識共有システムを構築しました。開発プロセスすべての工程の担当者が「全員設計ルーム」で三次元画像モデルを見ながら対話を行っています。

共同化:現場でのノウハウという暗黙知を獲得するために、お互いの現場を訪問しあいました。

表出化:獲得した現場の暗黙知を、整理するためのオンラインの設計共有システム「Z-EIS」を開発しました。

連結化:各工程が、優れたものだけを特定、登録しています。4,500件の形式知化された設計ノウハウは、毎月約50,000件の問い合わせが生まれています。

内面化:最も有用なもの「品質確立リスト」として、デザイン・レビューに活用しています。設計者は、この新しい体系的な形式知「品質確立リスト」を、現場の状況に適応させながら、再び暗黙知として習得しています。

このSECIプロセスはサイクルでなくスパイラルです。豊かな暗黙知を持った設計者と技術者たちが、全員設計ルームに集合し、そこで相互作用を始めます。(共同化)

参考文献:知識管理から知識経営へーナレッジマネジメントの最新動向―一橋大学 国際企業戦略研究科 野中郁次郎教授 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 梅 本 勝 博助教授

ナレッジマネジメントの活用と導入方法

ナレッジマネジメントの導入は、課題からのアプローチが有効です。

富士ゼロックスの事例では、「試作品や製品完成まで、ユーザーに近い視点が反映されなかったのが課題」が原点です。そして「知の創造と活用をすすめる環境の構築」というミッション(使命)へと繋がっています。

世の中にある多くの経営管理手法や、ITツールは導入することが目的化していることがよく見られます。経営理念やビジョンに即して、経営課題を精査し、解決するための手法の一つとしてナレッジマネジメントをとらえるべきです。

経営課題の優先順位と抽出については、下記投稿もご参考ください。

業績拡大・販売力強化と成長の秘訣(事業のボトルネック解消)
事業の成長には要因があります。短納期、低コスト、市場ニーズ、販売網、時代感覚との合致、営業活動状況などです。本投稿では、事業の販売力強化と成長の秘訣について、事業のボトルネック解消という根源的なテーマからの切り口で記載します。

ナレッジマネジメントのツール

ナレッジマネジメントを活用するツールは、様々な切り口で存在します。何のために導入してどのような効果を期待したいのか、導入前のディスカッションによる目的の明確化と予想効果の検討が、失敗しないために大事です。

データマイニング

統計学AIを利用してデータから知識を取りだし活用する手法です。POSデータで「おむつを買った人はビールを買う傾向がある」分析され、スーパーマーケットの品ぞろえの法則で有名になりました。

データウェアハウス

データを多次元的に処理し、察知しにくい傾向性を発見する手法です。全世界で 2億人近い登録ユーザー数があるeBayマーケットプレースで活用されています。ビックデータを扱うため、AIの得意分野です。

可視化

人間の持つ視覚の性能を利用します。多次元・多要素で理解しにくい情報を、見える形で表現し、理解しやすくさせる手法です。CGを利用した立体的で動的な画像が多用されます。

知識共有化

個人の知識を、組織・集団全体への共有を図る手法です。メーリングリスト、ネット掲示板などがあります。

まとめ

日本の企業は、長期勤務による強みの磨き上げを得意にしてきました。しかし生産性人口が減る中、国力維持のために、ダイバーシティ(多様性の受容)の必要性が増しています。

多様な働き方は、仕事の流動化を加速させています。短期間、短時間労働への対応が求められている中で、会社・組織の知識を体系化して、活用する仕組みであるナレッジマネジメントは競争優位をもたらす重要な手法です。

ダイバーシティマネジメントについては下記投稿もご参考ください

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