ダイバーシティマネジメント・企業環境の受容性と次世代の働き方

経営・営業

粒ぞろいより粒違いという言葉があります。ダイバーシティマネジメントは、人材の多様な個性と働き方を受け入れて、企業の生産性を上げます。日本の生産性人口はバブル経済崩壊1991年ごろから、生産年齢人口はピークに達し増加から減少に転じています。多様な個性と多様な働き方を受容する社会と会社経営は、時代の要請といえます。本投稿では、ダイバーシティマネジメント・企業と個人のありかた、政策動向についてみていきます。

ダイバーシティマネジメント(アメリカ)

アメリカは人種のるつぼであり、ダイバーシティマネジメント(経営)の発祥の地です。アメリカは、先住民インディアン、植民地時代からの奴隷制度、南北戦争、1964年公民権法が成立と、人種差別の歴史を乗り越えてきました。1872年には、イギリスを抜いて世界第一位の経済大国になって以来、他を引き離してGDP(国内総生産)一位の国です。多様性の困難を乗り越え、繁栄した国といえます。

政策的には公民権法によって、人種差別撤廃やマイノリティへの機会平等化が徹底されました。雇用面でも機会均等、裁判所におけるアファーマティブアクション(差別是正措置)が義務付けられたのです。

企業経営においてもダイバーシティマネジメント(経営)が浸透してきます。理由は二つあって、一つ目は、経済力をつけたマイノリティ発言権が強まったことです。二つ目は、将来の人口構造が、少子高齢化と白人男性生産人口の減少が予測されたことでした。

P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)の事例

P&Gは、アメリカのオハイオ州に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーです。A.G.ラフリー氏【前CEO:任期中(2000年~2010年) 売上倍増、利益4倍増、市場価値1000億ドル以上増加】は「P&Gにとって、ダイバーシティはビジネス戦略である」と公言しました。そしてP&Gは、現在においても「当社が目指すことは、他者を尊重すること、受け入れることです」と宣言しています。

世界の約160カ国に多様な顧客を持つP&Gにとって、ダイバーシティマネジメント(経営)はまさに成長のため必須の考え方といえます。

また、P&Gは人材採用において、地位や人種にかかわらず、80か国で利用できるオンラインシステムを運用しています。

ダイバーシティマネジメント(日本)

日本においても少子高齢化と生産性人口の減少は、大きな課題です。詳しくは下記投稿もご参考ください。(旧ブログのURLです)

アフターコロナ時代の働き方改革と生産性向上(事例と進め方) | トップ営業による課題解決(中小企業診断士の観点から)
ビジネスにおいて、プライベートにおいても、生産性向上は充実した時を過ごすうえで大事な要素です。一方では生産年齢人口減少の中、多様な働き方を受容する必要性がある時代背景と、アフターコロナを見据えたリモートワークの導入など、根本的な取り組みの見直しが必要となっています。

伝統的に日本は、比較的保守的な移民政策をとってきました。移民政策については、賛否両論があります。ここでは深く扱いませんが受け入れ体制と、受け入れた後の対等な関係が今後の課題です。日本におけるダイバーシティマネジメント(経営)の問題は、1898年(明治31年)民法において規定された、家制度(戸主に家の統率権限を与えていた制度)の変化を促すものから取り組まれています。

政策(厚生労働省)

主に、女性の就労環境を改善する法律として、昭和60年5月に男女雇用機会均等法、平成3年に育児休業法、平成5年にパートタイム労働法、平成15年に次世代育成支援対策推進法、平成27年に女性活躍推進法が成立しました。引用:厚生労働省ホームページ

その他、厚生労働省の最近のハラスメント対策については下記投稿もご参考ください。

ハラスメント対策と心がけ(会社組織と、個人が気をつけること) | トップ営業による課題解決(中小企業診断士の観点から)
ハラスメントは、⼈としての尊厳や⼈格を不当に傷つける⼈権に関わる許されない⾏為です。会社や人の人生を破壊する要素として社会問題になっています。ハラスメント防止のため、お互いに尊重と思いやりの心を持つことは、職場環境を良くし、生産性向上を上げることにつながります。

政策(経済産業省)

経済産業省では、企業の経営戦略としてのダイバーシティマネジメント(経営)の推進を以下の通り行っています。

経済産業省のダイバーシティマネジメント(経営)の定義

多様な人材(性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性)を活かし、

その能力多様な人材それぞれの持つ潜在的な能力や特性)が最大限発揮できる機会を提供することで、

イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営組織内の個々の人材がその特性をいかし、いきいきと働くことの出来る環境を整えることによって、「自由な発想」が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営)としています。

ダイバーシティマネジメント(経営)の事例

「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会」において、取締役会における多様性の確保と、企業と労働市場・資本市場の対話促進のための提言をおこないました。引用:経済産業省ホームページ

新・ダイバーシティ経営企業100選の事例(株式会社吉村):経済産業省

女性視点と顧客の需要創造、多能工と納期短縮、短時間労働の女性社員でもリーダーになれるブランドオーナー制度などが評価されました。

※注:ブランドオーナー制度とは、切り口(茶器、ギフト、スイーツ等)ごとに「主婦層」のニーズをつかむ企画・提案を行う制度で、「急須にかわるワインボトル型のガラス茶器」など従来の事業領域を超えた商品開発が実現しました。

株式会社吉村の人材採用は、学歴・経歴ではなく、会社と従業員が「相思相愛」になれるのが、最重要な基準です。

まとめ

AIやITによる技術革新によって、今後ますます、時間や空間、そして言語にしばられない働き方を可能にします。個人としては、過去の属性(学歴、経歴)ではなく、未来に何ができるかが大事になってきます。会社としては、P&Gのように、まず経営トップが、ダイバーシティについての考え方を発信する必要があります。顧客の価値観がますます多様化する今後は、会社も多様化(事業形態、採用、価値観)を受容することが求められます。

そのために、仕事の単位や生産性評価が、上司の評価だけでなく、仕事の生産性の記録が大事になります。仕事の生産性の記録については、ますますITツールが発達していきます。賃金や給与体系も、固定給や年次昇給という概念が薄れ、仕事単位の量や質が問われることでしょう。

次世代の働き方は、人間性の本質がますます重要になってきます。相手を尊重して受容するコミュニケーション能力であったり、技術や企画の創造性です。人類の生活をより、豊かに楽しくする付加価値の高い仕事を心掛けていくべきでしょう。

旧ブログもご参照ください

トップ営業による課題解決(中小企業診断士の観点から)
task solution

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